【8ミリフィルム】
シングル8　カラーポジフィルム　レトロエンタープライズ製
※富士フイルムでは生産終了
【現像】
レトロエンタープライズ
【使用カメラ】
ELMO 8S 30T
【現像をデジタル化】
映写機を使って映写したものを初代Canon 7DとVOIGTLANDER ULTRON 40mm F2.0で撮影
テレシネと呼ばれる方法
撮影データ：F4.0 SS1/30 ISO1600
※SS1/50よりSS1/30の方がフリッカー（画面のチラつき）が少なかった
【使用した映写機】
フジカスコープ M45
映写速度を動かせるため、映写機側でもフリッカーを軽減できる
動画編集ソフトで元の速度に調整
【8ミリフィルムとは。そして、「富士フイルムのコダックへの憤り」】
8ミリフィルムを撮ってみたくて、8ミリフィルムを撮影できるカメラを探していました。
8ミリフィルムというのは、現在のデジタルビデオカメラやデジタル一眼レフ、デジタルミラーレス一眼レフを第3世代とすると第1世代になります。
その間の第2世代にあたるのが8ミリビデオカメラになりますが、そちらは8ミリビデオカメラ用のテープを使って撮影するカメラです。
第2世代の8ミリビデオカメラがテープを使うすると、今回動画で使用した第1世代の8ミリフィルムカメラというのは文字通り、テープではなくフィルムを使って撮影するものです。
もちろん、細かい話でいうと、もっと前から8ミリフィルムはあったのですが、暗室でフィルムを装填するようなもので、あまり一般的なものとは言えませんでした。
富士フイルムは、８ミリフィルムを一般的なものにするために、8ミリフィルムがカートリッジに入ったマガジン方式にする開発をしていました。
富士フイルムは、その開発した8ミリフィルムを国際基準として育てていくために、この新システムについて日本のカメラメーカーだけではなく、海外のアグファなどの各メーカーにこの新システムの8ミリフィルムへの協力や呼びかけを行いました。
もちろん、フィルム業界では牽引しているコダック社にも協力や呼びかけをしましたが、コダック社からは，「目下コダック社にはその計画はないし，関心は持たないから独自に進められら良い」という趣旨の回答が寄せられました。
一方，ドイツのアグファ社からは、「同社でも独自のマガジン開発を進めているが，富士フイルムのものが良ければ，それを採用したい」との回答が寄せられました。
富士フイルムは、それならばと開発を進め、1964年に開催予定の東京オリンピック大会を目標に発売すべく，生産を開始しました。
富士フイルムは、その８ミリフィルムを「ラピッド-8」と名付けました。
ところが、カメラの生産も軌道に乗り、フィルムも量産化に入ろうとしたとき、突如、計画を根底からくつがえす情報がもたらされました。
これまで沈黙を守ってきたコダック社が、新8ミリ方式の「スーパー8」を発表したのです。
8ミリフィルムの新システムには関心がないと言っていたコダック社は、独自で開発を進めていたのです。
スーパー8は，世界の8ミリ市場をほぼ独占してきたコダック社が、満を持したように発表に踏み切ったシステムでした。
フィルムをマガジン化するという考え方は富士フイルムと同じでありましたが、マガジンの形式は全く異なっていました。
その上、1コマの面積は、従来の8ミリフィルムのほぼ50％増しでした。
富士フイルムは、これまでの既存の8ミリユーザーのために、既存の映写機でも映写できるようにという考え方に立って、画面サイズを従来と同じくしていたのに対し、コダック社のスーパー8では大型化を図っていたのです。
発売予定日を目前に控えてこの報に接し、富士フイルムの内では、計画どおりの開発を進めていたものを発売に踏み切るか、あるいはコダック社のスーパー8に追随すべきか、意見が分かれたようです。
しかし、スーパー8が一度世に出れば、世界市場におけるコダック社の位置からしても、近い将来、スーパー8の画面サイズが国際標準になるであろうことは想像に難くはありませんでした。
最終的に、富士フイルムは、今まで開発を進めていたものを中止して、フィルムサイズをコダック社のスーパー8に合わせた新システムの開発を進めるという決断を下しました。
これによって、東京オリンピックという8ミリ市場を開拓するうえでの千載一遇の機会を目前に、富士フイルムはラピッド-8の発売を中止するとともに、発売のために準備した全製品の廃棄に踏み切ったのです。
そうして、コダックのスーパー8と同じフィルムサイズにして出来たのが、今回動画で使った「シングル8」です。
ただ、シングル8は、現在は富士フイルムからは販売されていません。
レトロ通販、別名、「レトロエンタープライズ」がシングル8のフィルムを作っています。
ちなみに、8ミリフィルムを現像できるのはアジアで唯一、レトロエンタープライズだけです。
コダックのスーパー8の方は、現在でもAmazonなどでも購入できます。
コダックのスーパー8も、レトロエンタープライズで現像できます。
個人的には、富士フイルムの当時の怒りは理解できますが、8ミリフィルムの販売を2022年の現在にいたるまでしていることを考えると、一度作り上げたものを守り続けるコダック社には感謝の念があります。
富士フイルムは、写真のフィルムの方でもコダックに比べれば熱が冷めている印象があります。
今でも使いたいと願うユーザーのためにも、フィルム文化を捨てないで欲しいです。
デジタルで絵を描く時代であっても、絵の具やえんぴつを必要としている人たちはいるのです。
#富士フイルム社のコダック社への憤りについて概要欄で解説
#Single8
#Super8