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鳥取県の民話『絵姿女房』を #やさしい日本語 #EasyJapanese #SimpleJapanese でリライトしました。
殿様が大した悪行もやっていないのに悪役にされているので、ちょっとかわいそうになる話です。
【音楽】
dova-s.jp/
【イラスト】
www.ac-illust.com/
スクリプト(動画の字幕と完全に一致するものではありません)-----------
昔あるところに、若い樵がいました。樵は、とても美しい娘と結婚しました。とても、とても美しいですから、樵は毎日毎日朝から晩まで奥さんを見ていました。
「あなた、そろそろ仕事へ行ってください」
「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
「ああ、やっぱり行きたくないです。今日も家にいます。おまえのそばから離れたくない」
「あらあら、今日もですか」
結婚してから夫が全然働きませんから、奥さんは困りました。そこで、紙に自分の姿を描いて、男にあげました。
「私を見たいときは、これを見てください。じゃ、仕事に行ってくださいね」
奥さんは絵がとても上手でしたから、その絵は、本当に奥さんがそこで笑っているようでした。男は喜んで、その絵を持って仕事に行きました。男は少し働いて、絵を見て、また少し働いて、絵を見ました。
ある時、強い風が吹きました。
「あ、待って、待って!」
絵は飛んで、飛んで、お城の殿さまのところへ行きました。
殿さまは絵を見て、一目惚れしました。
「この美しい女はどこにいますか。連れてきなさい」
家来は一生懸命探しました、そして、とうとう樵の奥さんを見つけました。
「殿さまの命令だ。お城へ来なさい」
「やめてください。私の妻です」
「うるさい!」
家来は樵を殴りました。奥さんは樵に、桃の種を渡しました。
「これを植えてください。桃がなったら、お城に売りに来てください」
そうして、奥さんは家来たちとお城へ行きました。
お城の中で、殿さまは困っていました。美しい女は、ぜんぜん笑いません。何も言いません。きれいな着物を着ても、おいしい物を食べても、少しも喜びません。殿さまは、とても悲しくなりました。
それから三年経ちました。
ある日、お城の外から、大きい声がきこえました。
「桃~、桃~! おいしい桃を買いませんか~」
それを聞いた奥さんは、にっこり笑いました。殿さまは嬉しくなりました。
「あ、笑った! ここへ来てから三年、一度も笑いませんでしたが、今初めて笑った! おまえは桃が好きか。よし、よし。では、桃を買ってあげましょう」
「ええ、私は桃が好きです。それに、あの声、おもしろいですね」
殿さまは、もっと嬉しくなりました。
「おまえの声を初めて聞いた。よし、よし。だれか、あの桃売りをここへ連れてきなさい」
桃売りは、樵でした。樵は殿さまと奥さんの前へ行って、大きい声で言いました。
「桃~、桃~! おいしい桃~」
奥さんはコロコロと笑いました。殿さまは、もっともっと嬉しくなりました。
「おい、桃売り。おまえの服を貸しなさい」
樵と殿さまは、服を脱いで、交換しました。樵は殿さまの服を着て、奥さんの隣に座りました。殿さまは樵の服を着て、桃の籠を背負いました。
「桃~、桃~! おいしい桃~」
殿さまが言うと、奥さんはコロコロ笑いました。殿さまはもっと大きい声で言いながら、お城の外に出ました。お城のまわりを歩きながら、「桃~、桃~!」と言いました。
殿さまがお城の門に戻ると、門番が言いました。
「おい、桃売り。おまえは、ここから入ることはできない」
「えっ! 私だ、私だ、殿様だ」
「殿様のはずがあるか。絶対に入ってはいけない」
門番は殿様を殴りました。殿さまは泣きながら、どこかへ逃げました。
それから樵は殿様になって、奥さんといっしょに、お城で幸せに暮らしました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーおわり