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人間と野生動物のトラブル解消を担っているハンターが今、いわれのない批判にさらされています。
住人の為にやっているのになぜ批判を受けるのか。苦悩する現場を取材しました。
「デントコーンを今クマが漁っているのではないか。デントコーン刈りしている最中にクマ飛び出してくる」
北海道東部の厚岸町のハンター・根布谷昌男さんです。
普段は農作物に被害を及ぼすシカを捕獲していますが、人に危害を加える恐れのあるクマが出没した場合には自治体から特別に許可を受け、捕獲します。
この日は、息子と捕獲に出ている途中、牧草地でシカを発見しました。
約300メートル先のシカを1発で仕留めました。
捕獲数を管理するため、シカの写真を撮影し、役場に提出します。
「大体300m以内なら外すことはない。いま(酪農家は)飼料づくりをしているから、そういう意味では、いっぱいとってあげたいんだけど、大変だよね。クマも入ってくるだろうし」(北海道猟友会 厚岸支部 根布谷 昌男さん)
厚岸町では、クマやシカによる被害が深刻です。
酪農地帯が広がる内陸部では、牧草地にシカが入り込み、牧草や牧草ロールを食べ、年間の被害額は1億5千万円にのぼります。
「おそらくここでクマが寝ていたんだと思う。クマもここで2回みてるんだよね。しょっちゅうここに来るんだけどなかなか姿を見せてくれないんだよね」(根布谷さん)
中でもクマの被害は深刻です。
農業被害はもちろん、厚岸町では過去5年間で、人がクマに襲われる事故が3件発生し、1人が死亡しました。
こうした人や家畜を襲う問題個体の捕獲もハンターが担っていますが、そのハンターが批判にさらされています。
標茶町や厚岸町の牧場で66頭の牛を襲い、2023年7月に駆除された「OSO18」。
駆除をめぐり、ハンターや自治体に「なぜ殺したのか」、「かわいそう」など苦情の電話が数十件ありました。
報告を受けた猟友会標茶支部の後藤勲支部長は、批判に対し、クマとの共生の難しさを訴えます。
「標茶でこれだけ牛の被害があるようなところに来て、生活して、実態を見てくれと言いたいです。我々もおもしろ半分にクマを撃っているわけではないから」(北海道猟友会標茶支部 後藤 勲 支部長)
後藤支部長はこうした状況がハンターの萎縮やなり手不足につながると懸念し、道の会議で抗議や誹謗中傷への対策を求めました。
道の担当者は「ハンターを守る体制を検討したい」としました。
「クマをとって、批判されるのであれば(ハンターを)辞めると。当然そうなるわけですよ、鉄砲持たなくなるわけよ。そしたらこれからの将来どうなるのかと」
(後藤 支部長)
そのほかにもハンターを悩ませる問題があります。
「これがいま使われている主流の3種類、この弾が倍くらいになっている。1個の弾で千円くらい。昔は600円。」(根布谷さん)
銃弾の価格高騰です。
アメリカやヨーロッパからの輸入に依存している銃弾は、コロナ禍で供給網が混乱したうえ、ウクライナ情勢や円安も重なり価格が跳ね上がりました。
影響が長期化するとクマやシカの捕獲にも支障が出かねず、なり手不足にも拍車がかかるのではと懸念しています。
「どうしようもない。ただお金がかかるばかりであって。シカばかりではなくてクマによって牛襲われたり、人が襲われたりすることがあるので、ハンターの力を借りないとどうしようもない部分がある」(根布谷さん)
地域の住人、そして道民のために働くハンター。
正しい理解とハンターを守る対策が求められます。