29:51 「……後は純粋なパワーと集中力の勝負です。もう、私が何か言うこともないでしょう!最高のBGMと最高の走り!お楽しみ下さい……!」 解説:墨酢が言葉を用いた解説を終了すると、同時に湧き上がってくる陶酔感、浮遊感、期待の予感。フェードインする女の歌声「movin' to the beat……」。コーナーでマシンは2位に躍り出る。青白い明かりに照らされたハイウェイは暗闇を裂くランウェイだ。歌声は更に大きくなる。「movin' to the beat……」“ビートにノれ”と言われるがまま、身体は心は少しづつ勝手にビートを刻み、後方へ流れていく明かり、プレイヤー:ケンねこの手によって300km以上で走り続けるマシンDESTROYER、そして何よりねじれ続けるコントローラーから目が離せなくなる。 1周し、再び同じコーナーで前方にマシンを捉え、そのまま有無を言わさぬ速度でインから前方車を追い抜き、レースのリーダーの座を奪い取った。カウントが切り替わる「RANK 1/8」。瞬間、BGMが止まり、聴こえるのはマシンが絶え間なく排気ガスを放出する無機質な音だけになる。爆音のはずが感じるのは心地良さと静寂。それを破るのはBGMと歓声。その歓声すらも、すぐ後方へ過ぎ去っていく。BGMだけがマシンとプレイヤー……いやレーサーを祝福している気がする。残りの2周、約1分。たったそれだけ、だからこそ愛おしく美しい時間を堪能する……。 未だに見返すくらいマジで好き。急にポエム書くくらい好き。