子どもを守るべき立場の50代の男性教諭が、担任を受け持つ児童に対して、授業中「スルー、無視しよう」などといじめを助長する発言を繰り返していたことが分かりました。2学期を前に、この教諭は担任を交代させられ、滋賀県野洲市の教育委員会が会見で謝罪しました。
■「スルー、無視しよう」「ADHDなので発達検査を受けるべき」　教諭が“いじめ”発言
滋賀県野洲市の教育委員会の壁に掲げられたポスターには、「いじめ×　けじめ○　STOP!！いじめ」と書かれていました。
ところが･･･
野洲市 教育委員会　西村健教育長
「子どもを一番守るべき学級担任がクラスの子どもに対していじめ事案を起こしてしまいました。本当に子どもたちにとってつらい思いをさせてしまったこと、本当に申し訳ございませんでした」
野洲市立の小学校で2年生の学級を受け持つ、学年主任の50代の男性教諭が1人の男子児童に対し、2022年5月以降いじめを助長するような発言を繰り返していたのです。
市の教育委員会によりますと、男子児童が授業中に繰り返し質問した際、男性教諭は･･･
男性教諭（50代）
「○○君は、本当に言葉を知らんな」
男子児童を切り捨てるような対応を繰り返したといいます。さらに･･･
男性教諭（50代）
「うるさいなぁ」
「○○君の言うことはスルー、無視しよう」
▼7月上旬には男子児童の発言を無視するよう、他の児童の前で発言していたのです。
■保護者にも「ADHDなので検査受けるべき」
そして、不適切な発言は保護者にもありました。学期末の個別懇談会の場では･･･
野洲市教育委員会　井上善之次長
「『○○くんはADHD（注意欠陥多動性障害）なので、早急に発達検査を受けるべきです。薬を飲んだら落ち着くんじゃないかな』と突然伝え、保護者に不安を抱かせてしまいました」
男性教諭の発言は、このあとも続きます。1学期の振り返りをする国語の授業中には･･･
男性教諭（50代）
「言葉クイズをします。みんなのためでなく、言葉を知らない○○君のためにします」
▼7月25日、男子児童の保護者から教育委員会に報告があり、男性教諭は「いじめ発言があった」と事実関係を認め、保護者に謝罪したといいます。
野洲市教育委員会　井上善之次長
「保護者には、自分の独断でそういうことを（発達障害の検査をすすめた）ことは申し訳なかったと謝罪をしております」
▼学校側は8月18日学級説明会を開き、2学期から担任を交代させることを説明。
▼9月5日の全校説明会では、校長が男性教諭の具体的な発言内容には言及せず、「不適切な発言があった」と説明し、保護者に謝罪したといいます。
男子児童は学校を休むことなく登校しているといいますが、学校側の聴き取りに対して「言葉を知らなかった自分が悪い。ただ、同級生からも同じような言葉を言われたことは嫌だった」と話したということです。
■「忙しい中気持ちのゆとりを失って･･･」　2月にも別の臨時講師がいじめにつながる発言
男性教諭は8月中旬から体調不良を訴え、現在は休職しています。
野洲市教育委員会　井上善之次長
「なぜこのようなことをしたのかという理由・原因は、本人が忙しい中自分の気持ちのゆとりを失ってしまって、このようなことになってしまったということは言っておりますが、だからといって許されるものではございません」
この小学校では、2月にも当時４年生の担任だった30代の男性臨時講師が、特定の児童をアニメのキャラクターに例えたことがいじめにつながったとして担任を交代させられていました。
小学生の子どもがいる市内の保護者は･･･
別の小学校の保護者
「いじめ問題に関しては前から市の教育委員会も学校に任せているという感じがあった。動きが鈍い」
■発達障害は「赤ちゃんの時から成長の様子を調べ、総合的に判断するもの」
国山ハセンキャスター：
発達障害に詳しい 岩手医科大学付属病院の八木淳子教授は
「発達障害は学校以外にも家庭での姿や赤ちゃんの時からの成長の様子を調べ、脳などの検査をして総合的に判断するもの。教師が独断で発達障害と決めつけたことは非常に残念」と語っています。
小川彩佳キャスター：
本来、いじめの防波堤であるべき教師がいじめを助長・先導するような言動を取るというのは、どんな理由があるにせよ、許されることではないと思います。お子さんとしては一生心に残っていく傷です。学校側は全力で向き合い続けていただきたいです。
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