また一人...被爆者の方が亡くなりました。
被爆者一人ひとりと直接会い、
それぞれの被爆証言を集め歩いてきた森口さん。
『二度と繰り返してはならない。』
『この怒りを悲しみを後世に伝えなければ...』
森口さんは、来る日も来る日も..
ずっと被爆者から証言を集め歩きながら、
ずっと子ども達に伝え歩き続けてきました。
僕は毎回世界旅から帰国すると、
必ず広島と長崎に旅のご報告に行きます。
そして、長崎に行くと必ず、
森口さんにご報告に行かせて頂いてました。
長崎に入る日が決まると電話をするんです。
『森口さん！今回も無事に帰ってこれました！』
『長崎に行く日が決まったので、ご予定は！？』
と、聞くと...とても大きな声で、
『森下くん！おかえりー！！』
『僕も頑張ってるよ！
　昨日はどこどこの大学生たちに、
　今日は高校生たちに、明日も！』
『森下くんを待ってたのよ！』
『事務所で待ってるから、
　楽しみに待ってるよ！！』
いつもいつも元気な姿を見せてくれてました。
お電話をさせて頂くと...体調が悪かった時もあると思います。それでも、『あ、森下くんからの電話だ！元気な声で出てあげないと』と思っていてくれてたんだと思います。少しお疲れのような声でも、元気な声を届けようとしてくれていた事も忘れられません。
長崎に入り森口さんの事務所に行くと、
『おーー！！おかえりー！！』
と、言って...
強い握手とハグをしてくれてました。
『そこに座って！早く報告を聞かせて！』と...
旅のご報告をさせて頂くと
子どものような目をして聞いてくれてました。
そして、報告が一通り終わると、
『森下くん！ご飯に行くよ！！』と行って
いつもご飯をご馳走になっていました。
そんな、森口さんと一緒にいれた時間...
その中でもとても印象に残っている、
森口さんが僕にくれたメッセージがあります。
『僕が森下くんを心から応援してる理由はね』
『組織に頼らず、個人で世界を歩き、
　その地その地の人たちに寄り添っている。
　平和の尊さを自力で伝え歩いている。』
　
『森下くんが世界で取り組んでる活動は、
　本当の意味での平和が見えてくるとよ。』
『そして、それは森下くんにしかできない。』
『だから、僕はずっと応援してるんだよ！』
そして、今年...2022年。
ロシアとウクライナでの活動を終え帰国し、
長崎でお会いできた時間が最後となりました。
『森下くん、次はどこへ行くの？』
と、聞かれ...
『ミャンマーに行きたいと思ってます。』
『世界の支援はウクライナに集中していて、
　ミャンマーは世界から忘れられた戦地に...』
『きっと世界から支援も届いていない、
　微力だけど少しだけでも救援を届けたい...』
すると...
『やっぱり、森下くんだ！！』
『だから、好きなんですよ！あなたのことが』
そして...
ミャンマーとパキスタンでの活動から帰国し、
長崎に報告に行く事を決め森口さんに電話した。
プルルル...プルルル...プルルル...
いつもなら直ぐに電話に出られるのに...
切ろうと思った瞬間...
『森下くん！！！』
『ごめんね〜出るのが遅くなって...』
元気な声...
それでもいつもの森口さんではなかった...
『森下くん、ごめんね...』
『今、病院で...酸素マスクまで付けられて』
『今回は、会えそうにないとよ...』
『本当に悔しくて...悔しくて...』
『でも...頑張って森下くんにまた会いたい！』
この日が森口さんと話せた、
最後の日となってしまいました...。
森口さん、本当にありがとうございました。
僕は長崎という場所ではなく、森口さんがいる長崎に報告に行かせて頂く事がいつもいつも楽しみで仕方ありませんでした。
もっともっと、沢山のことを教えてほしかった。
もっともっと、子ども達に伝えてほしかった。
森口さん、本当にお疲れさまでした。
これらからも、これまでと変わらず、
旅から帰国したら長崎に報告に行きますね！
次からはお墓になってしまうけど、
これまでと変わらず報告を聞いてやって下さい。
さいごに（森口さんから最後のおくりもの）
実は、昨年森口さんから電話がありました...
『僕たちがこれまで作ってきている、
　ヒロシマとナガサキの被爆者の証言を
　集めた書籍「証言」は知ってるよね？』
『その書籍の「2022年版」に、
　森下くんの事を載せても良いかな！？』
と、いう...なんともお応えしずらい内容でした。
この「証言」という書籍は、これまで何十年と被爆者の方の証言を主に掲載している書籍。被爆者でもない自分のことを掲載頂くのはとても恐縮過ぎてお断りしました。
すると、森口さんが...
『森下くん、最初で最後になるかもしれない』
『なんとか、受けてもらえないだろうか...』
そして、そのご相談は何度も頂きました。
でも、中々自分の気持ちとしてお受けできず...
何度もお話し頂く中で気持ちが少し楽にになり、
結果、お受けさせて頂くことになりました。
そして、寄稿文を作成させて頂き、
森口さんに送らせて頂きました。
そこから、その件について話すことはなく...
2022年12月、森口さんが亡くなられた悲報を事務局の方からご連絡を頂いた際に、事務局の方から『森口が亡くなりました。そして、森下さんに寄稿頂いた「証言2022」が完成致しました。』と...
それは、森口さんから頂いた、
貴重な貴重な最後のおくりものとなりました。
森口さん、いつも言ってましたね！
『僕ももっと若かったら、
　森下くんと世界を歩きたいな〜！』って
これからは、ゆっくり休まれながら、
気軽にいつでも旅に付いてきて下さい！！
これからもこれまでと変わらず、
森口さんの声を世界の片隅へ届け歩きます。
森口さん、本当にお疲れ様でした。
本当に、ありがとうございました。
森下 雄一郎
公式WEB (www.send-to2050.com/)
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