8月26日 新ひだか町・日高軽種馬農協サマーセール
「400万、420万、440万…」
先月末、新ひだか町で行なわれたサラブレッドの競りです。
特別講師
「こっち向けろ！引っ張れ！引っ張れ！」
必死に馬をなだめているのは高校生。
静内農業高3年生
「展示が一番難しい。ここを乗り切れたらいい」
高校生たちが手塩にかけて育てた
サラブレットが競りへ！
その舞台裏を「もうひとホリ」します。
去年4月、先生と生徒たちが見守る中、
無事に仔馬が誕生しました。
立ち上がろうとする仔馬を
先生と生徒が手助けします。
ここは静内農業高校。
日本で唯一、生徒自ら競走馬を育てる
授業がある高校です。
去年7月・静内農業高 小林 忍 教諭
「どれだけ成長したか見たいと思います」
生徒
「胸囲123.5センチです！」
元気に生まれた仔馬は
「奏叶（かなと）」と名付けられ、
翌年のセリに出されるまで、生徒たちに大切に育てられます。
誕生から1年4か月、奏叶は立派に成長しました。
小林教諭
「右手の肘だけで動かさないとダメ！」
馬の授業は1978年にスタートしました。
この生産科学科は3年生は13人、2年生17人が在籍。
学年ごとに1頭の馬を、生産から、育成、
競りに出すまで担当します。
その競りを直前に控えた授業、緊張感が高まり…
授業の様子
「そのまま立たせることに集中しろ！
そうやって足元なんて触るな！」
3年生が去年春にとりあげ、育ててきた
奏叶は、いよいよ翌週、競りに出されます。
高い値段をつけてもらうためには、
馬が堂々とふるまう姿を見せることが重要です。
しかし…
3年 平野圭祐さん
「暴走気味になってしまうところを
自分たちがどうにかしてなだめようかなと」
今年の競り会場は感染予防のための
入場制限がなくなり、3年生の3人が、
奏叶と一緒に会場に行けることになりました。
8月26日 サマーセール当日
中西 信吾 講師
「向けちゃダメ！ガッて引いていいよ！」
高校の敷地の中で育てられてきた「奏叶（かなと）」
この日、セリ会場には238頭のサラブレッドが
集まったため、興奮を抑えきれません。
3年 山田リタさん
「ハミが効いていない感じなので危ない」
競りの参加者
「気になったので、どうしても見たくて。
競りには参加しようと思っています」
「これから成長しそうな、いい馬体をしている」
生徒たちが懸命に落ち着かせ、
競りの参加者の評価も上々。
いよいよ運命の競り本番です！
会場アナウンス
「今年も静内農業高校の生産馬が登場してきました！」
「正面のお客様500万円！」
静内農業高校の3年生13人が育てた
1歳のサラブレッドがいよいよ競りへ。
興奮気味の「奏叶」を生徒たちは必死でなだめます。
小林 忍 教諭
「馬が慣れていない分、興奮気味だったが
よく生徒は持ちこたえたな」
さぁ、いよいよ競り本番。
手綱を引くのは、3年生の阿部 天馬さんです。
会場アナウンス
「13名の3年生、未来のホースマン
ホースウーマンたちが育て上げた愛馬！
一声お願いします！」
「いかがでしょう？正面のお客様500万円！
左手520万！」
奏叶の競りは、高値の500万円からスタート。
どんどん値が上がり生徒たちも
思わず顔を見合わせます。
競り
「670万！（参加者）じゃあ700万円！」
「ラストコール700の上ございませんか？700万円！」
奏叶をたたえるように首をたたく 阿部さん。
静内農業高校で、歴代2番目の高額落札です。
700万円で競り落としたのは、
町内にある「ミルファーム」の清水社長です。
落札した ミルファーム
清水 敏 社長
「静内農業高校の馬に（700万円を）使っても
ばちは当たらないかなと」
3年 平野さん
「手入れもしっかりしたので
一番輝いていた瞬間かなと」
馬を引いた 3年 阿部さん
「今後も馬に関わって仕事に就くと思うが
そこで今回の経験を生かして頑張っていきたい」
出産から育成、そして競り。
生徒たちが愛情を注いだサラブレッドは、
早ければ、来年6月に競走馬としてデビューします。
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