清水裕貴『岸』赤々舎
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苅部太郎『あの海に見える岩に、弓を射よ / Aim an Arrow at the Rock in the Ocean』トラブルメイカーズ・パブリッシング
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清水裕貴『岸』に寄せて　赤々舎・姫野希美さんより
この写真集を作るきっかけは、2011年に「1_Wall」で清水さんがグランプリを受賞された際、私が審査員のひとりだったことです。
写真と言葉の行き来を通して、思いがけない時空に連れ去られるような驚きxがあり、たしか審査員全員、清水さんを推していたと思います。
今回の写真集に収載している「ホワイトサンズ」の写真をはじめ、当時発表していた写真もいくつもありす。
それで、すぐに、写真集を作ろうねという話になり、清水さんはダミーブックを作って、事務所に来てくれました。私が感想を返し、さまざまに広がる話をして、、、また清水さんが持ってくる、
そんなことを何回となく繰り返しました。
新しい写真が入ったり、言葉ががらっと変わったり、清水さんの思考の変化に連れて、ダミーブックの佇まいもどんどん変化していきました。
写真と言葉で清水さんが立ち上げようとしている時空はかつてないものに思え、それを本というかたちにおいて実現するのはなかなか難しいことです。
でも清水さんはいつも飄々と楽しげで、焦りもなく、私も数ヶ月に一度くらいそうして写真や本についてやりとりするのが刺激的でした。
いつか、清水さんが経てきたダミーブックを展示してみても面白いんじゃないかと思ったりします。
「岸」は、それまでの清水さんの写真家としての旅、変遷が、凝縮し、果てしなく寄せ返すような感触があります。
これが流れゆく先は誰にもわからず、同時に、ひとりひとりのものでもあり、問いがいつまでも輝くような本と感じています。大好きな、そして怖いほど深淵な一冊です。