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「え、えっと、その、あっ、おかえり!どうだった?今日は?」
昔から何でも顔に出る奴だった。
俺の持ってるゲームを壊した時も
俺の自転車を勝手に借りっぱなしにしてた時も
やめとけって言ったのにどうしようもない男に引っかかってフラれた時も
一丁前に嘘をつこうとして、すぐバレて俺に怒られる。
ここまで俺たちの一連の流れだ。
そもそもこんなに顔に出るやつが隠し事なんてしようとするんじゃねえよ。
嘘が下手くそだから、俺が告白した時もまんま顔に出ていたし
どうしよっかなーなんて白々しいことを言ってる時は早くしてくれとさえ思った。
俺は嘘というか取り繕うのがどうやら上手いみたいで、俺の気持ちはその瞬間までコイツに悟られていなかったみたいだけど
だからこそわかるんだ。
昔から、ドジで鈍臭くて不器用で、そのくせ器用に憧れて下手くそな嘘をつこうとする。
そんなお前だってわかってるからこそわかるんだ。
この顔は何かを隠している顔だ。
「え、えっと、その、あっ、おかえり!どうだった?今日は?」
「なんかあった?」
「な、なにかってなに?ははは、なにも無いよ!バカじゃないの!!バ、バーカ!」
やっぱり、そうだ。
お前の事ばかり見てる俺にはお見通しで
このバカは今日も何一つ隠せていない。
でも、俺もコイツに負けず劣らずのバカみたいで
自分の事を一切見ていないせいか、今のこの瞬間まで忘れていた。
汚れまくりのキッチンに
隠そうとしてるくせにバカがテーブルの上に置きっぱなしにしてるローソクと
ソファーの上に無造作に置かれてるプレゼントと
慌てまくりのお前で全部わかったけど
俺がお前を見ているように
お前は俺を沢山見てくれてて
わかりやすいお前を通して
自分の忘れてる事を思い出したりとか
よくある事なんだ。
#ルームシェア
#板橋ハウス
#勧善懲悪