福岡県では今回の大雨で5人が亡くなりました。土石流だけでなく、久留米市を中心に広い範囲で浸水被害に見舞われ、復旧にはかなりの時間がかかりそうです。
久留米市田主丸町竹野地区の中野峰子さん（69）は、14日も避難所での生活を余儀なくされています。
■中野峰子さん
「ボランティアさんを要請しているけれど、ボランティアさんも順番だって。」
知人などが手伝いに駆けつけ、重機を使って土砂などの片付けが進められていました。14日はゴミの収集日で、冷蔵庫の中身を捨てる予定でしたが、浸水した室内にはものが散乱し、中に入ることすらできませんでした。
■中野さん
「やだ。だめだこりゃ。ここも土砂が入っとるけどね。畳もだめ、なんでもかんでもだめだめ。」
家の中には、被災当時の生々しい跡が残されていました。
■中野さん
「92歳の義母は、脚が悪いから2階に上がれないって。」
92歳の義理の母は、1階で救助を待っていたといいます。
中野さんの夫、久幸さん（68）は、同じ地区で土石流の犠牲になった北川良俊さんと同じ『JAにじ』に勤めていました。
■中野久幸さん
「優しい人だったよ。穏やかといえば穏やかかな。」
『JAにじ』田主丸支店の今村義彦支店長は、初任地が北川さんと同じでした。北川さんは仕事熱心で、分からないことは『北さん』に聞けば分かる、という頼れる存在だったと話します。
今回の記録的な大雨では、土石流に加え浸水による深刻な被害も出ています。国土地理院の調査をもとに、浸水したと推定される場所に色をつけると、久留米市を中心に筑後川周辺の広い範囲に及んでいました。
中でも、最も深く浸水したとみられるのが久留米市善導寺町島で、その深さは最大およそ3.8メートルにも達すると推計されています。
浸水被害に見舞われた久留米市田主丸町の浮羽工業高校では、1週間ぶりに生徒たちが登校しました。
学校のすぐそばを流れる巨瀬川の水があふれ、大量の水と泥が押し寄せました。そのため、今週月曜日から休校が続いていました。
■教員
「浮羽工業はこういう状態になりましたが、他校の生徒、全国の生徒は着々と準備を進めている状況です。だからこそ、もうダメだと悲観的になるわけにはいかない。」
14日は学年ごとに分散登校し、生徒たちには校舎の1階部分が浸水して使えなくなっていることなど、被災状況が伝えられました。
一方で、職員は水につかった書類などの片づけに追われました。爪痕は、校舎のいたるところに残っています。
■松原記者
「まだ泥が入ったままですね。」
■浮羽工業高校・平形隆弘教頭
「床のタイルが水分を含んで破裂した状態。」
教室の床は剥がれ、破片が散乱しています。工業高校ならではの被害もありました。
■平形教頭
「こういう機械も（水に）つかってしまったので。」
実習に使う大切な機械や教材が、水につかってしまいました。中には、800万円するものあるといいます。
■松原記者
「機械自体は使える？」
■平形教頭
「いやいや、電源がつかってしまっているので、怖くて動かせていない状態です。業者に見てもらうしかない。使えるかどうかも分からない。」
学校は夏休み中に修理したい考えですが、見通しはたっていません。変わり果てた学び舎を見た生徒は、不安な思いを明かしました。
■2年生
「夏休み前の授業などが追いつかないと思うので、ちょっと不安。」
■2年生
「（今後）夏休みだから試合がいっぱいあるけれど、練習ができるか分からない。」
浮羽工業高校では予定どおり、今月20日に終業式を迎えますが、久留米市内の大橋小学校と竹野小学校では、通常より2日早い18日から夏休みに入ります。
久留米市は福岡県とともに、仮設住宅の建設や民間からの借り上げなど住宅支援を検討しているということです。
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