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【 note : note.com/yaguchihappy 】
中立説について講義します。
語呂「ブドウのビンをちゅーちゅー(「ブドウ」で浮動、「ビン」でビン首効果、「ちゅー」で中立説。ほとんどの変異は中立であり、遺伝的浮動が遺伝子頻度の変化に大きな影響を与えるという説が中立説。ビン首効果により大きく遺伝子頻度が変わり得る)」
ブドウで遺伝的浮動をイメージしてます。もうどうしようもない語呂ですね、すみません。
問題:ある遺伝子座の対立遺伝子頻度が世代を経るにしたがって『偶然』上昇したり下降したりすることを何というか。
答え:遺伝的浮動(『偶然』がキーワード)
問題:中立説を提唱した研究者は誰か。
答え:木村資生(入試ではこう答える。ダーウィンも種の起源において中立進化が生じることに消極的ながら言及している)
*中立説は、自然選択説を否定したわけではないことに注意してください。負の自然選択、(そして、その影響は中立説では低いとしますが、正の自然選択)は認めています。ただ、ダーウィンの主張を拡大解釈した学者による「有利な突然変異のみが高頻度で生じ残っていくという説」は、誤りである可能性が高いのです。
●正の自然選択、有利になる変異が進化の主役なら、重要な分子ほど、変異速度は速くなっていてもおかしくない(変異が起こるほど有利になるのだから)。しかし実際は、重要な分子ほど進化速度は遅い。
●木村資生先生は、中立説を、「突然変異偶然浮動説」と呼びかえてもよいと仰っている。非常にシンプルでスマートな名前である(しかし、中立説という名前が、広く使用されている中、途中で名前を変えないほうがよいだろうと仰っている)。
中立説は、自然淘汰自体の存在は否定しない。「分子進化の大部分が、正の自然淘汰によるものだ」という説を強く否定するのである。
●「突然変異」という概念を強調するのも、中立説の特徴である。今では進化に突然変異が重要な役割を果たすという考え方は当たり前だが、昔はそうではなかった。多くの人が、たとえ突然変異が完全に止まっても、組換えなどを行うことで進化は強く進んでいくと考えていた。
中立説を支持する根拠として、環境の違いに置換速度が影響されないという事実がある。もし、正の自然淘汰のみが進化の原動力なら、進化速度は、生育する環境の影響をダイナミックに受けるはずである。しかし、魚、馬、人の間で、ヘモグロビンα鎖のアミノ酸置換速度はほぼ同じなのである。住む環境がまったく異なるもの同士で、変異のスピードが同じというのは、自然淘汰のみを考えるならおかしなことである。
●動画の中でも述べたように 、分子進化と 個体の表現型レベルの進化との間には際立った違いが存在する 。(そもそも、表現型は、複数の遺伝子によって、グラデーション的に、量的に支配されているのが普通である。赤と白の間に、無数のピンクが存在する。遺伝子の塩基配列の変化とまったく同列に扱うことはできない)
第1の違いとして、進化速度の違いがある。分子進化では 同じ分子 、あるいは同じ遺伝子について 、アミノ酸や塩基の変異、置換は 、ほとんど一定の速度で起こっている 。
ところが、表現型レベルでは、「生きた化石」などと言われるような 生物が存在するように 、表現型が何億年も 変わっていないような例が存在する 。
第2の違いとして、(適切な言葉ではないが)変化の方針の特徴が異なる。分子進化の変化は保守的である。事なかれ主義的に、分子に変異が起きている 。つまり、不利でなければその変異は残存し得る。不利でなければ良いのである。
一方表現型レベルの進化では、動物の羽(翅)を考えてみればわかるように、その起源は何でもよく(腕でも表皮でも良い)飛べば何でも良いような、便宜的な進化が起こっている。ここに、正の自然選択がはたらくであろうことは、木村も認めている。
これらの違いに関する研究に、結論は出ていない。
●動画の初めの方で示した、正の自然選択のみが分子進化においても進化の原動力になるという考え方は、かつて(狭義の)ネオダーウィニズム(自然選択万能説)と呼ばれていた。(ちなみに、種の起源を読めばわかるが、ダーウィン自身はかなり謙虚に自説を論じている。ネオダーウィニズムはダーウィンより後に出た考え方である)
今でも、中立説を知らず、ネオダーウィニズムのみで進化を語る大人はたくさんいる。
伝統的なネオダーウィニズムの立場からすれば、突然変異遺伝子が集団に広がり固定されるのは 、自然淘汰の力によるものと考えられる 。つまり もし 突然変異遺伝子が それを持つ個体の繁殖力や生存の力を高めるのなら 、それらは正の自然選択を受け、集団内に広がり固定されるというのである 。
これに対して 木村資生が提唱した中立説では 、分子進化において 、その大部分の 塩基配列、アミノ酸配列の変化は 自然淘汰に 対して 不利でも有利でもない、中立なものであると主張する 。中立な突然変異の遺伝的浮動による偶然的固定、これが中立説の主張内容であり、現在広く支持されている。
ネオダーウィニズムは、1960年代に登場した中立進化論にほぼとって代わられた。しかし、先述した表現型レベルでの、進化に関する様々なことがら、たとえば、肉眼の形態や、行動、生態の進化を扱う研究分野では、未解明な部分が多い。分子進化と表現型レベルでの進化の橋渡しが待たれる。
*動画中に話した木村資生先生のお言葉は『分子進化の中立説』(1986年第一刷:紀伊國屋書店発行)より引用。
0:00 中立説(分子進化の中立突然変異浮動仮説)
2:59 進化に関する誤解
6:31 中立説の背景
12:58 中立説と遺伝的浮動
#高校生物
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#進化