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【参考】フジパン 民話の部屋 『節分の鬼』 ― 新潟県 ―
minwa.fujipan.co.jp/area/niig...
【音楽】
音の園様 oto-no-sono.com/
【イラスト】 イラストAC様 www.ac-illust.com/
スクリプトー-------------------------
2月、立春の前の日は、冬から春に変わるとき「節分」です。季節が変わるときは、鬼が来やすいと言われます。節分の日は昔から、「鬼は外、福は内」と言いながら、豆を投げます。邪気を祓って、福を呼ぶ行事です。
昔々あるところに、貧乏なお爺さんとお婆さんがいました。ある年の節分の日、お爺さんはお婆さんに言いました。
「私たちは毎年『鬼は外、福は内』と言って豆を投げています。でも、ぜんぜんいいことがない。意味がないですよ」
お婆さんも言いました。「そうですね。無駄ですね。じゃ、今年は『鬼は内、福は外』と言いませんか」
「おもしろい。やりましょう」
それで、二人は「鬼は内、福は外」と言って豆を投げました。
すると、あちらからもこちらからも、赤鬼や青鬼が来ました。
「節分の日に鬼を呼んでくれるか。ありがとう、ありがとう」
「もう体中が痛い。助かった」
お爺さんとお婆さんは、びっくりして、怖くなりました。それを見て、鬼たちは笑いました。
「びっくりしましたか。すみません。でも、私たち鬼は、今日はどこへ行っても豆をぶつけられます。行くところがないんです」
「そうなんです。みんな体中が痛くて痛くて、たまりません」
「悪いことはしません。ちょっとここで休ませてください」
それを聞いて、お爺さんとお婆さんは安心しました。
「休んでもいいですが、私たちは貧乏ですから、食べ物も飲み物もありませんよ」
「ああ、それなら問題ない。これを売って、酒と肴を買ってください。それから、薬もお願いします」
鬼の一人が、お爺さんに箱を渡しました。中に、見たことがない物がありました。お爺さんはその箱を持って、質屋へ行きました。
質屋の店員は、箱の中の物をよく見てから、主人を呼びました。店の主人も、それをよくよく見てから、言いました。
「すみませんが、あまりお金をあげることができません」
お爺さんは、がっかりして聞きました。「いくらですか」
「今ここには千両しかない。すみませんが、千両でどうですか」
「えっ、千両?」
お爺さんはびっくりしました。すぐに千両箱をもらって、市場へ行って、酒と食べ物をたくさん買いました。
その食べ物で、お婆さんはたくさん料理を作りました。鬼たちはたくさん食べて、たくさんお酒を飲みました。
「お婆さん、料理が上手ですね」
「ああ、楽しい。こんな楽しい節分は、初めてだ」
鬼たちはみんな喜んで、持っていた宝物を全部おいて、歌ったり踊ったりしました。お爺さんとお婆さんも楽しくなって、いっしょに歌ったり踊ったりしました。
その声がとてもうるさかったですから、隣の人が怒って文句を言いに来ました。
「おい、うるさいよ。何をしているんですか」
しかし、お爺さんもお婆さんも、酔っぱらっていましたから、すぐに戸を開けませんでした。
「だれですか、あなたも鬼ですか。酔っ払いですか」
隣の人は怒りました。
「だれが鬼ですか。酔っ払いはあなたたちだ。私は正気だ」
それを聞いて、鬼たちはびっくりしました。
「鍾馗だ、鍾馗が来た!」
「逃げろ!」
鍾馗は、鬼を退治する神様です。みんな急いで裏口から逃げました。
鬼たちは、宝物をたくさん残しました。そして、二度と戻ってきませんでした。お爺さんとお婆さんは、その宝物を売って、大金持ちになりました。それからずっと、幸せに暮らしました。
ー---------------ー-----------おわり