0:00 （１）はじめに
0:25 （２）うつ病の症状と治療
2:48 （３）うつ病の治療目標4つ
2:55 ①症状の改善
5:04 ②社会生活への復帰
6:50 ③再発予防
9:06 ④薬なしの「治癒」を目指す
10:35 （４）まとめ
うつ病は落ち込みなどの幅広いうつ症状が続く脳の不調です。治療に時間がかかり様々なアプローチが必要ですが、改善後は最終的に薬なしで安定が続く「治癒」を目指せる精神疾患でもあります。
「うつ病の治療目標4つ」について、精神科医が11.5分で説明しています。
出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長）
こころ診療所吉祥寺駅前　kokoro-kichijoji.com
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↓↓内容の詳細は下記になります。
（１）はじめに
うつ病は様々な症状が出る治療に時間を要する脳の不調です。抗うつ薬を土台に様々な角度から働きかけ、改善と再発予防を図っていきます。最終的には薬なしで安定した状態が続く「治癒」を目指していきます。
（２）うつ病の症状と治療
うつ病は落ち込みなどが続く脳の不調であり、脳内物質セロトニンの不足などが背景とされています。治療の3本柱は休養、薬物療法、精神療法です。
うつ病の症状には、こころの症状（落ち込み、不安、意欲低下、集中力低下など）、体の症状（不眠、疲れやすさ、吐き気、めまいなど）、行動の変化（人を避ける、声が小さくなるなど）があります。
うつ病は社会生活や仕事に困難をもたらし、悪化すると日常生活にも支障が出ることがあります。重症時には安全確保が難しくなることもあるため注意が必要です。
主な治療としては、休養（ストレスから離れて頭を休ませる）、薬物療法（抗うつ薬SSRIを中心に、必要に応じて睡眠薬などを併用）、精神療法（ストレスへの対処法の見直し、時に福祉の活用）が行われます。
うつ病の病期は急性期（うつ症状や不安が重い時期）、回復期（再発防止と徐々なリハビリ）、再発予防期（安定して復帰しながら再発防止）の3段階に分けられます。治療には時間がかかり、改善後もしばらくは再発リスクが高い状態が続くため、長期の治療が望まれます。
（３）うつ病の治療目標4つ
①症状の改善
休養と抗うつ薬を中心に様々な角度で症状の改善を図ります。休養はストレスから離れて頭を休ませ、抗うつ薬は脳のセロトニンを増加させることで症状改善と再発予防の効果を見込みます。行動活性化（体を動かして脳を刺激）や認知再構成（否定的な考えのくせを弱める）も症状改善に有効です。
②社会生活への復帰
症状改善後は社会のストレスにも耐えられる状態を目指します。復職など社会生活への復帰後はストレスがかかるため、抗うつ薬での再発予防を土台としつつ、体力面や生活リズムなどの土台作りも大切です。活動量の確保（仕事なら週5日、1日8時間など十分な量）と生活リズムの確保（起きる時間を固定するなど）によってストレス耐性をつけていきます。抗うつ薬は復帰後も数ヶ月以上再発予防のために継続します。
③再発予防
うつ病は安定した後も再発リスクが残るため注意が必要です。再発の引き金の多くは疲労なども含めたストレスであり、環境や考え方の癖などがストレスに影響する場合はそれらの調整も大切です。治療期間は長めにとって再発リスクを減らし、可能であれば薬以外の再発リスク対策もとります。環境調整（ストレスが大きい場合は転職など）、考え方のくせの見直し（認知再構成）、アサーション（相手を尊重しつつ必要な主張をする）などが再発予防に有効です。
④薬なしの「治癒」を目指す
最終的には抗うつ薬を中止しても安定が続く「治癒」が目標です。十分な安定期間の後、慎重に抗うつ薬を減らしていき、安定が続けば最終的に中止します。減薬・中止時は離脱症状（めまい、ふらつきなど）に注意が必要です。治癒後もストレスなどの再発リスクは残るため、ストレスや疲労、生活リズムなどの対策を続けることが大切です。再発の前触れがあれば早めに気づいて対策をすることで本格的な再発を防ぎます。
（４）まとめ
うつ病は様々な症状が長期間続き、長期の療養を要することがありますが、治療目標は次の4つです。
1. 症状の改善
2. 社会生活への復帰
3. 再発予防
4. 薬なしの治癒を目指す
抗うつ薬を土台に様々な角度から改善や再発予防を図り、最終的には薬がない状態での安定の継続、いわゆる「治癒」を目指していきます。
こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station）
府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695)
#うつ病　#治療　#社会復帰 　#再発予防 　#精神科医　
【監修者】
医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎
精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医）
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。