最後の未解決問題に関しては意外と弱い体系で示せるような感じがしなくもないですね。主張を少し弱めて「3点が直線上に並ばないように集合を増やすのはどこまで可能か?」を考えると、これはおそらくΠ^1_1-CA_0上で連続体濃度まで拡張できることが示せます。言い直すと、任意の直線との交点が高々2点の連続体濃度の集合の存在がΠ^1_1-CA_0で示せそうです。(以下の文献あたりを組み合わせるとそのように思いました) [1]Arnold W. Miller, Descriptive set theory and forcing [2]S. G. Simpson, Subsystems of second order arithmetic [3]Alberto Marcone, Borel quasi-orderings in subsystems of second-order arithmetic [1]のP.112では「任意のΣ^1_1(bold face) 集合は、可算個の直線で被覆できる、もしくはどの3点もco-linearな完全集合が存在する」ことが紹介されています。(Σ^1_1集合としてR^2を取れば目的(高々2点)の集合を得る) 証明のテクニックとしてはGandy(-Harrington) forcingを使うのですが、この強制法はATR_0上で二階算術において再現できます。[3] また併せて使用するMostowski絶対性の二階算術版と言える、beta-modelの存在はΠ^1_1-CA_0で示せます。[2] G-H forcing (とMostowski絶対性)を使う証明の典型はSilverの定理なのですが、[2]ではSilverの定理のΠ^1_1-CA_0での証明が書かれています。証明のやり方は同じなので、弱めた主張(高々2点ver)もΠ^1_1-CA_0で示せるはずです。またMostowski絶対性が必要ない可能性もあって、その場合ATR_0で示せることになります。 (実際、主張を少し弱めたSilverの定理はATR_0で示せることが[3]で指摘されています。Π^1_1同値関係をBorel同値関係に弱めるという内容です。集合の複雑性で証明の強さが変わるのであれば、Σ^1_1集合ではなく実際はR^2で良いということなのでATR_0で示せる可能性は充分あると思います) 上記の結論としては、弱めた形の主張が二階算術の範囲で証明できるということなので、元の主張(two-point setの存在)ももしかしたら二階算術の範囲で示せるかもしれないのかな?と思いました。 一方で、長々と2階の範囲で証明できる可能性について記述しておいてといったところではあるのですが、個人的には二階算術の範囲は超えるような気がしています笑 この動画の証明で使用されている「連続体濃度の高さまでの超限帰納法」ですが、これについては二階算術の範囲を超えていたように記憶しています。このタイプの帰納法を使用する別の定理としてVitaliの定理(非可測集合の存在)があります。Vitaliの定理についてかつて指導教員と話していたところ、「Vitaliの定理はZ_2(2階のfull comprehension)くらいは必要になってくる」といった話をされていました。(ソースはないのですが、確かMoschovakisのdescriptive set theoryにそう書いてあった、といってたような気がします) 記憶が定かでないので怪しいですが、Vitaliの定理のように連続体濃度の超限再帰を使用する定理で二階算術の範囲を超えるものがある(と思われる)ので、同じように連続体濃度の超限再帰を使用するtwo-point set の存在も二階算術を超えるのではないかと感じました。 最終的な結論としては、two-point setの存在は2階算術よりも少し強い体系は必要になってくるような気がしています。ただ、通常の選択公理(ZF+C)ほど強い体系は必要ないのかなと予想します。
@user-eh3ly2wj9u20 күн бұрын
関連する話題として、3次元空間は互いに交わらない単位円で埋め尽くすことができる、というのもあります J. H. Conway and H. T. Croft. Covering a sphere with congruent great-circle arcs. Mathematical Proceedings of the Cambridge Philosophical Society, 60:787 - 800, 10 1964